2020年度 日本代協通常総会に向けたメッセージ 会長 金子智明 2020.06.12 日本代協会長の金子でございます。日頃は本会の事業に対するご理解と多大なるご尽力を賜り、心より御礼申し上げます。 本来であれば、本日は各代協の新会長の皆さまとの顔合わせの機会となるはずでしたが、本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、やむを得ず書面開催に変えさせていただきました。 そのため、代わりに私からのメッセージをお届けし、組織としての方向感を共有させていただくことといたしました。どうぞよろしくお願いいたします。 2019年度の取り組みへの御礼 各代協の皆さまには、「目指せ!三冠王」を始め、全国各地で本会事業の推進にお取り組み頂き、本当に有難うございます。 結果的には、「仲間作り推進」は前年度比377店減の11,768店、「日本代協アカデミーのID登録推進」は達成率35%に止まり、目標には届きませんでしたが、CSRや広報等、他の事業は概ね計画通りに推進することができました。課題は残しましたが、厳しい環境の中で各代協の会長を始め、役員、会員の皆さまが一丸となって取り組んでいただいた結果であり、心から御礼申し上げます。 一番の課題である会員増強につきましては、活動の盛り上げを図るために「入会ベース」の取り組みを展開しましたが、環境変化や保険会社の代理店政策を背景とした合併・統合等による退会が入会を上回り、厳しい状況が続いています。一方で、そうした中でも、兵庫県代協は、14店増店という素晴らしい成果を挙げられ、明るいニュースを提供いただきました。今後のご活躍を大いに期待したいと思います。 なお、三冠王に関しましては、福井県代協の5冠を筆頭に、以下の24代協が見事栄冠を獲得されました。意欲的なお取り組みに深く敬意を表し、心から感謝申し上げます。(Vは連続) ◇プラチナ三冠王(5冠):福井(V2) ◇ゴールド三冠王(4冠):徳島、福岡(V2) ◇冠王(3冠):鳥取、高知、奈良(V6)、岡山、大阪、沖縄、やまがた、香川、宮崎、京都(V6)、 石川、三重、山梨(V6)、滋賀(V4)、熊本(V6)、兵庫、鹿児島、北海道、山口、和歌山、愛媛 大規模自然災害、新型コロナウイルス感染拡大と代理店のBCP さて、昨年度は自然災害の猛威にさらされた一年でした。支払保険金も1兆円を超え、今後も常態化すると想定されていますので、私たち保険代理店の役割は益々大きなものとなっています。お客さまのリスク実態に応じた保険手配のアドバイスは勿論ですが、「地域のリスクマネージャー」として、防災・減災活動に草の根で取り組むことも大切な役割になっています。本年度は、CSR委員会を中心に具体的な活動内容を検討し、情報提供を行ってまいりたいと考えております。 そうした中で、追い打ちをかけるように襲ってきたのが、手ごわいウイルスでした。あっという間にパンデミックが引き起こされ、世界中がリーマン・ショック以上の大きな影響を受けています。代協会員の皆さまにおかれましても、「感染しない、感染させない」ための努力を最大限行いながら、事故の受付けや契約関連業務、社員の勤務体制の見直し等に腐心されたことと思います。本当にご苦労様です。 緊急事態の中でも休業できない業種として、行政が「保険代理店」を明記したことは、私たちの仕事の意義を再認識することにもなりましたが、一方で、代理店にとっては、大規模災害だけではなく、パンデミック等も想定したBCPの策定と組織としての態勢整備が不可欠であることも痛感させられることとなりました。 本会では、こうした問題意識の下で、本年度から2年間をかけて、各代協単位での「BCPセミナー」の開催を予定しています(代協負担は一律3万円のみ・各年度25代協程度を目途)。今回の事態を受けてセミナーのスタートが遅れてしまいましたが、状況が落ち着きましたら、是非とも開催をご検討いただきたく、何卒よろしくお願いいたします。 日本代協アカデミーの活用 次に「日本代協アカデミー」について、ご報告とお願いです。昨年10月に本会の教育研修事業の中核と位置付ける「日本代協アカデミー」が本格稼働したことを受け、昨年度は12,145件を目標に利用者ID登録を推進しました。結果的には817代理店・4,232ID、目標達成率35%という結果で年度末を迎えてしまいました。代理店数ベースでは利用率約7%という低水準です。 保険会社が指示する研修メニューをこなすだけでは代理店として最低ラインのレベルであり、自立したプロ代理店の姿とは言えないと思います。ご提供している「学習ガイド」と「学習モデル」を活用して個社における年間の教育・研修計画を立て、アカデミーの「教育・情報コンテンツ」の活用を通して、新たな知識やノウハウ、最新情報、更には他代理店の好取組事例等も取り入れながら、昨日より今日、今日より明日の品質を磨き上げていただきたいと思います。 「個の力を磨き、組織の力を活かす」ことは「人の産業」である代理店の基本であり、人材育成こそが代理店発展の基盤です。そのために是非アカデミーを活用いただき、「学ぶ文化」、「学び合う文化」を構築し、お客さま本位の対応力を組織全体で引き上げていきましょう。 多くの会員の皆さまの自発的で計画的な活用を期待しています。併せて、コンテンツや掲載情報等の要望がありましたら、是非教育委員会までお寄せ下さい。 代協会員専用「代理店経営サポートデスク」の活用 昨年7月に、代理店経営に関わる支援策の企画・展開を目的とした「代理店経営サポートデスク」(毎週火~木曜日は事務局に室長常駐)と、代協会員の個別課題の解決に向けたアドバイスを行う「代理店経営相談コーナー」(毎週水曜日10時~16時電話受付)を開設いたしました。 支援策の第一弾として、本年3月には従業員10名程度までの代理店を想定した「BCP策定簡単ガイド」と「BCPシート」を作成し、各代協の皆さまにデータ提供を行いました。個社のBCP策定につなげる「BCPセミナー」の開催については前述の通りです。 また、相談コーナーでは、合併、労務管理、高齢募集人の処遇、年金加入、乗合の可否、社員育成、生保成長力アップ策など、35件の個別相談に対応いたしました。 今後も現場のニーズを把握しながら、順次支援メニューやツール類の提供を行ってまいります。 また、個別相談に対しては、相談される方の視点に立って、具体的な解決策の提示や対応上の留意点のアドバイス、専門家との効果的な連携等も行ってまいりますので、更なる活用をお願いいたします。 最後に 新型コロナウイルスとの戦いで、本年度は厳しい幕開けになりました。相手がウイルスだけに長い戦いになるかもしれません。 私たちは「リスクの専門家」を自認しているわけですから、リスクに対する感度は誰よりも高く持っているはずです。先ずは、個人として、組織として、出来ることは手を抜かずに実践し、その積み重ねで自社と地域の安全を確保しましょう。 その先に見えるのは、社会全体の急速なデジタル化の進展です。今回の事態を受けて、自動化、遠隔化、非接触化に慣れた消費者は、デジタルを積極的に活用するようになり、「人と人の対面」でなければ伝えられないと思っていた価値は、あっさりとWEBに置き換えられてしまう契機にもなると感じています。 言い換えれば、デジタルで済むような単なる取引や手続きは、もはや人が行う仕事ではなくなることを意味しますので、これから先は、人の持つ価値の本質が問われる、洗い出される、正に本物だけが生き残るプロの時代の到来です。 こうした環境の中で、私たち代理店も、「保険は特別」とか「従来通りで大丈夫」と言いながら時代の流れから目を逸らすことはできなくなっています。他方で、デジタルとアナログの価値の融合は、多くの地域代理店の課題である生産性の低さと社員の品質のバラつきを克服するカギになる可能性を秘めており、デジタル活用は私たちの将来につながるチャンスにもなると感じています。 朝が来ない夜はない、と言いますが、代協の仲間でスクラムを組んで前に進めば、きっと朝は早く来ると私は信じています。不透明な時代に負けず、”集い、語らう”代協の真価を発揮し、互いに切磋琢磨する一年にしていきましょう。私もその先頭に立って行動します。 最後になりましたが、各代協の今後ますますのご発展を祈念いたします。 皆さまと笑顔でお会いできる日が一日も早く訪れることを願いながら、通常総会に向けたメッセージとさせていただきます。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。